日 時:2024年8月7日(金)13:30~16:00
場 所:岩国市民文化会館 第1研修室
講 師:稲垣文彦氏(NPO法人ふるさと回帰支援センター 副事務局長)
対 象:地域づくりに興味のある人
参加者:40名
●内容
〇講師紹介
新潟県出身。専門は、災害復興と地域づくり。外部人材を活用した内発的発展論を展開し、地域づくりにおける住民の主体形成プロセスを研究。中越地震や東日本大震災復興支援等に尽力。地域おこし協力隊、集落支援員、復興支援員制度、関係人口施策等の普及、人材育成に尽力。
〇講演
1.ふるさと回帰支援センターについて
・都市と地方の交流、移住、定住相談や情報提供を行う
・43都道府県1政令市に相談員を配置
・年間約6万件の相談、5,000件の移住相談を受ける
・コロナ禍で地方移住の関心が高まっている
2.地域づくりの足し算と掛け算の法則
・中越地震被災地、山古志村復興の事例
復興支援に入った外部支援者の“めざす”関わりと“すごす”関わり
人は元々“力”を持っている(認識していない→発揮できていない)⇐外部人材の役割
外部人材の支援:①足りない物を補う ②力を引き出す支援
↓
外部者との出会いで地域住民の主体性が高まる(地域の人材増に貢献)
・地域づくりの足し算と掛け算の法則 ~外部人材を活用した地域づくりの考え方~
地域:保守的、閉鎖的、依存的意識、あきらめ感
足し算の支援 (寄り添い型支援)
住民の不安や悩みに寄り添う
外部とのつながり、小さな成功体験、共通体験(交流)
↓ 住民の主体性、共通認識
掛け算の支援 (事業導入型支援)
⇒ 地域力がマイナスの時に事業導入(掛け算)するのではなく、まずは地道な寄り添い支援(足し算)を行うことが大切!
3.若い世代の価値観の変化
・移住相談のキーワード
①ワークライフバランス ②地域貢献 ③農ある暮らし
・各地域移住事例紹介
・自分らしい豊かさ…価値観の転換
→若い世代の意識が変わり、地方に向き始めてきた
・地域の活性化と地域おこし協力隊
地域らしさ×自分らしさ=地域づくり・自己実現
他人・世間のモノサシではない ⇒ 自分のモノサシ、地域のモノサシを大切に
・地域の人口増→人材増
〇参加者による地域の紹介
・美和地域(藤田さん)
美和地域おこし協力隊、美川集落支援員を経て今春からフリーランス。
美和地域人口は現在3,000人を切る右肩下がり。縁もゆかりもない美和に移住してきたが、この地域は素晴らしい。家も直せて害獣駆除も何でもできる住民が多い。分校と小学校1校になったが、子ども達はみんな美和が大好き。餅つきや田植え、駒作りなど学校行事の体験もある。分校では神楽クラブもあり伝統継承、担い手不足に取り組み、子ども達が地域のことに興味関心を持っている。
・美川地域(片山さん)
平成18年大合併時1,600人から現在700人の過疎化地域。地域に産業もなし。人口減少していてもいい。とても住みやすいところ。山と川に囲まれ、住める土地は少ないが楽しく過ごしている。一番の心配は住み続けていけるかということ。清流鉄道の便数減と廃止問題。錦川流域が滅びやしないか。高齢化率70%、免許返納も迫る中、住民をどう守っていくかが問題。
・柱島地域(横山さん)
住民100人切るような小さな群島。若い年代で40代、子どももいない高齢化地域。行政に依存せざるをえない。その中で何ができるか日々活動中。
〇質疑応答
・周東地域(世良さん)
地域に空き家が増え、買ってほしい声も売ってほしい声も聞くが、空き家を明け渡してくれない。
→資料P.43 「welcome集落制度」移住促進の支援制度について
資料P.44 助成金利用について
・由宇地区(松本さん)
若い人の地域流出について対策はないか。
→一度外に出てもいい。岩国の良い所を知ってはいるがチャレンジもしていい。地域の大人と子どもがふれあい地域づくりに関わり合える小中学校の総合学習などの機会が大事。
・岩国地域(落合さん)
廃校の活用について。行政主導で活用など活用事例はあるか。
→サイズ感も大きいし、耐震問題など学校の利活用は難しい。今、古民家活用も人気。子育ては田舎で、進学は都会でという子育て移住案件が多い。
●アンケート結果
1.講座はいかがでしたか?
大変ためになった 12
ためになった 10
ためにならなかった 0
2.講座の内容はいかがでしたか?
大変満足 10
満足 12
普通 0
満足しなかった 0
3.地域づくりに関心はありますか?
関心がある 22
関心がない 0
4.地域づくり活動に参加されていますか?
はい 15
いいえ 6
※それはどんな活動ですか?
・地区ふるさとづくり ・自治会・介護予防教室 ・自治会活動 ・ボランティア活動
・地域振興活動 ・空き家バンク ・集落支援員 ・青年団として
・地域おこし協力隊 ・地域の行事開催 ・村づくり塾 ・公民館活動
※今後地域づくりに参加してみたいと思いますか?
参加してみたい 5
参加したくない 3
わからない 0
5.あなたが地域づくりに参加する場合、どのような条件や環境が整えば参加しやすくなると思いますか?
活動に参加するための情報が得やすい 7
参加を呼び掛ける世話人がいる 13
参加に必要な知識や技術を習得する研修がある 2
活動に経済的な支援がある 6
活動に人的な支援がある 7
その他 0
6.あなたは住んでいる地域のことを良く知っていますか?
よく知っている 13
あまり知らない 8
7.あなたが住んでいる地域をより良い地域にするために、今後重要と思われる分野はどれですか?
観光資源 0
産業振興 2
福祉・医療の充実 3
文化の振興 1
農村漁村の振興 5
生活基盤の整備 4
防災対策 3
交通機関の利便性 5
住民の意識改革 9
その他 0
※具体的にどのようなことですか?
・リーダー的人材の育成
・健康寿命の延長
・教育を視点に体験交流学習を行っていく
・伝統行事をどのようにして残していくか
・地道な農業の継続
8.今後も地域プランを地域住民と考えてみたいと思われますか?
地域住民全員と話しあってみる 2
主だった地域住民と話しあってみる 15
地域プランを考えるのは難しい 5
9.どの地域の方ですか?
周東 6
岩国 4
美和 3
錦 2
美川 2
由宇 2
柱島 1
未記入 2